2017年大胆予想まとめ、解説と検証【経済・金融機関】

2017年大胆予想、10大予想まとめ、世界経済はどう動くか

【ニュース】
銀行や証券会社など金融機関が2017年の世界経済の予想の発表を始めた。

市場で話題になるのが確率は低いものの起きたらびっくりするような「大胆予想」だ。

2016年の大胆予想ではトランプ当選をあげる声が多かったが、現実のものとなった。

2017年はどんな大胆予想が出ているのか、ダイアログニュースがまとめた。

2017年の10大予測、目次

みずほ総合研究所「とんでも予想2017年」
サクソバンク証券「2017年大胆予測」
野村證券「10大『グレイ・スワン』リスク」
バイロン・ウィーン氏の「びっくり10大予想」
ユーラシア・グループの「十大リスク」


「2016年はイギリスのEU離脱のブレグジット、アメリカのトランプ大統領誕生と日本の偉い人たちが思っていたのと逆の結果になりましたね」


「そうだね。2015年末に発表した証券会社などの『びっくり予想』ではトランプ氏勝利が多かっただけに、本当にビックリだよ」


「2016年に一般の想定と逆の結果が多いと、2017年の大胆予想って難しくないかしら?」


「証券会社などが公的に発表するビックリ予想はもともと、確率は50%より低いけれど、発生する可能性はゼロではなく世界経済に与える影響は大きいものだ。荒唐無稽な予想ではないだけに、10大予想のうちいくつかは当たるものだよ」


「2017年はどんなビックリ予想があるんや? 2017年は景気が良くなるんやろか」


「2017年の10大予想にはイギリスのブレグジット撤回が目立つね。他にはトランプ新大統領で米経済が絶好調になるのが大胆予想だ」


「逆に言うと、イギリスはEUから離脱して、トランプ新大統領で米経済は落ち込むというのが主流の見方ってわけね」

みずほ総合研究所の「とんでも予想2017年」

【ニュース】
みずほ総合研究所は12月14日、「とんでも予想2017年」を発表した。

2016年の予想ではトランプ米次期大統領の当選などいくつものとんでも予想が正解した。

高田創チーフエコノミストのもと、2017年の予想は日本がトランプホテルを誘致、米国が中国に接近、イギリスのEU離脱撤回や北朝鮮難民などだった。
(リンク:「みずほ総研、とんでも予想2017」



(1)日本は大型減税、トランプ・ホテル誘致
内容:アベノミクスがトランプノミクスを採用し、大型減税を断行。カジノ法案成立を受け、インバウンド観光の目玉策として超豪華「トランプ・ホテル」を誘致

(2)米国で株高、長期金利3.5%超まで上昇
内容:トランプノミクスへの過剰な期待から米国で資産バブルが発生。グレート・ローテーション期待でダウ平均株価は2万3000ドル台、米長期金利は3.5%超の水準に上昇。一転してTPPも批准

(3)米国が中国に急接近
内容:経済的利益から米国が中国に接近。日米両国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)に加わり、米国で中国製新幹線が導入される

(4)日銀が物価上昇に妥協
内容:トランプ大統領から「イールドカーブ・コントロールは円安誘導」との批判を受け、日銀は物価目標2%を長期目標、中間目標として1%を導入し、長期金利の上昇範囲を許容。金融政策の出口への警戒から超長期金利が急上昇

(5)日本政府は財政拡大、日銀はヘリマネ
内容:サミットで過度な金融緩和抑制と積極財政政策が合意され、安倍政権は財政健全化計画の凍結と大規模な財政出動を宣言。政府は100年国債発行、日銀はリコプターマネー政策に

(6)欧州が右傾化
内容:欧州で難民急増からEUへの不満爆発。フランス、ドイツの選挙で右派が勝利。ユーロ崩壊の連鎖へ

(7)英国はEU離脱を撤回
内容:英国がEU離脱通告否決を受けた解散・総選挙の末、Brexit撤回へ

(8)北朝鮮難民がアジアに
内容:北朝鮮は中国との関係が一段と悪化。各国の経済制裁が強化されるなか北朝鮮の国民が日中韓に大量流入

(9)2017年経済危機
内容:10年周期の経済・金融危機のジンクスが現実に(1987年ブラックマンデー、97年アジア通貨危機、2007年サブプライム危機)

(10)世界の異常気象で景気後退
内容:世界的に異常気象が頻発し、食糧不足が深刻化。食料価格が急騰し低インフレ脱出も、実質所得を押し下げ景気後退(スタグフレーション)へ



サクソバンク証券の「2017年大胆予測」

【ニュース】
デンマーク金融大手のサクソバンク証券は12月16日、「2017年大胆予測」の日本語版を公表した。

中国の急成長やイギリスのEU離脱の撤回、銅価格の急落やイタリアの銀行株上昇などを予想した。

(リンク:「サクソバンク証券、2017年大胆予測」



1. 中国のGDP成長率が8%まで上昇し、SHCOMPが5,000に達する
要旨:中国は財政と金融政策で消費主導の成長へ転換、上海総合指数は2016年の倍の水準の5,000に。

2. 日銀の轍を踏むFRB - 10年物国債は1.5%に
要旨:トランプ新大統領の強気の財政政策で米10年物利回りは3%に上昇、混乱収束のため米連邦準備制度理事会(FRB)は日銀の金融政策をまねて10年国債の利回りを1.5%に固定。実質的なQE4に。

3. ハイイールド債のデフォルト率が25%を超える
要旨:ハイイールド債のデフォルト率が25%まで上昇、債券ファンドから資金が引き上げられ格付の低い債券では借り換えが不可能に。

4. イギリスがEU離脱を撤回
EUがイギリスに譲歩した結果、イギリスはEUに残留してイングランド銀行は0.5%への利上げを実施。

5. 銅が迎える冬の時代
トランプ新大統領が公約している投資の実現が難しく、期待される銅の需要増加は実現しない。アメリカの保護貿易主義の強化で世界の成長は鈍化に転じ、銅価格は2009年の金融危機で記録した1.25ドル/ポンドまで下がる。

6. 仮想通貨の人気に伴ってビットコインが大幅に上昇
要旨:トランプ大統領は財政支出を増やしてアメリカの成長率とインフレ率は急上昇、米ドルは過去最高まで上昇する。アメリカの金融政策の依存から脱却したいロシアと中国の銀行システムと政府機関はビットコインの採用を一部開始、ビットコインの価値は現在の700ドルから2,100ドルまで上昇。

7. アメリカの医療改革が業界に混乱をもたらす
要旨:トランプ新政権が医療を優先せず、医療セクターSPDFファンドETFは50%下落して35ドルとなり強気だったアメリカの株式相場が終わりを迎える。

8. トランプ氏の勝利にもかかわらずメキシコ・ペソが急騰(特に対カナダ・ドル)
要旨:市場はドナルド・トランプ氏の真の意図を大きく誤解、大幅に下落したペソは反騰します。一方、カナダでは金利上昇により住宅市場の信用収縮が始まり、カナダ銀行は量的緩和と金融システムへ資本を注入してカナダ・ドルは低迷する。

9. イタリアの銀行が株式資産において最高のパフォーマンス
要旨:ドイツの銀行は、マイナス金利とイールドカーブのフラット化による悪循環に陥っている。EUの枠組みでドイツの銀行を救済、「ヨーロッパ不良債権銀行」の設立により銀行の与信機能が復活。イタリアの銀行株は100%を超える上昇となる。

10. EU債による成長刺激
要旨:ポピュリズム政党がヨーロッパで成功を収め、ヘルト・ウィルダース氏率いる極右政党がオランダで劇的な勝利を果たす。伝統的な政党は緊縮政策をやめてケインズ型政策に移行、EUは、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長が支持する6,300億ユーロに上る6カ年の刺激策を開始する。

野村證券の「10大『グレイ・スワン』リスク」

【ニュース】
野村証券は12日、2017年の10大「グレイ・スワン」リスクを発表した。

グレーリスクとは予想不能で重大な打撃をもたらす「ブラックスワン」に近いもの。

基本シナリオではないものの留意が必要な案件だ。

(リンク:「野村證券、10大グレイ・スワンリスク」



1.ロシアの軍事行動リスク
要旨:ロシアによる東欧への軍事侵攻リスクは来年も最大のリスクの一つ。

2.米国の生産性の急上昇
要旨:米国の研究開発投資の増加が既に生産性向上の下地を作っているため。

3.中国人民元の変動相場制導入
要旨:中国が通貨体制の自由化を急ぎ、国際収支の衝撃が発生する可能性がある。

4.英EU離脱からの離脱
要旨:英国の最高裁での離脱問題審理が総選挙の引き金となり議会の親EU派が勢いづく。またはEUが分裂を抑えようと英国に譲歩する。

5.新興市場の資本規制
トランプ次期米大統領の財政刺激策で米利回りが上昇しドル高が一段と進み、新興国が資金流出に歯止めをかける規制を行う。

6.日本のインフレ率急上昇
原油値上がりと円安でインフレ率が急上昇し、日銀が10年債利回りを0%に誘導する目標を解除する。

7.清算機関の危機
最悪のシナリオはセントラル・カウンターパーティー(CCP)を中心に銀行の経営難や担保価値の低下、過大評価された市場の急変で危機に陥る。

8.トランプ氏とFRBの対立
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長とトランプ次期大統領が対立し、イエレン議長が更迭される。

9.アベノミクスの頓挫
安倍晋三首相への支持が一段と強固になるシナリオが崩れて市場に大衝撃が走る。

10.現金の時代の終わり
電子マネーがマイナス金利を避けるタンス預金の動きを防止するため、消費者が新たな交換可能通貨を考案し始める。

バイロン・ウィーン氏の「びっくり10大予想」

【ニュース】
米著名ストラテジストのバイロン・ウィーン氏(米ブラックストーン・グループ副会長)は1月3日、2017年版の「びっくり10大予想」を公表した。

金融界で話題になるウィーン氏のびっくり10大予想は今回で32回目。

ウィーン氏は50%の確率で発生すると見る予想を公表している。



1.トランプ次期大統領が政策で極端な姿勢をやめる

2.2017年の米GDPの成長率が3%を超える

3.米企業の利益が伸びてS&P500種株価指数が2016年末比12%高い2500に上昇する

4.為替が乱高下、円は対ドルで1ドル=130円、ユーロは対ドルで1ユーロ=1ドルを下回る

5.米10年債利回りが4%に接近するまで金利上昇

6.欧州で欧州連合(EU)を終わりにして自国通貨に戻すと議論

7.原油先物の指標油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は60ドルを下回って推移

8.トランプ次期大統領が中国と協調

9.中国や米国の好景気で日本が低成長を脱け出し実質経済成長率が2%を超える

10.米国とロシアが連携してシリアが長期停戦、中東情勢が落ち着く

追加1.トランプ大統領がホワイトハウスをフロリダ州のパームビーチに移す
 
追加2.米民主党が2分化、バーニー・サンダース議員やエリザベス・ウォーレン議員が左派へと流れる

追加3.トランプ大統領が米国の雇用確保に失敗する

追加4.北朝鮮が実験と称して、太平洋に核ミサイルを放つと威嚇

追加5.インド経済が勢いづいて経済成長率が7%となり投資家に注目される



ユーラシア・グループの「十大リスク」

【ニュース】
米調査会社ユーラシア・グループは1月3日、2017年の世界の「十大リスク」を発表した。



1.トランプ次期大統領のアメリカ中心主義

2.中国の国益重視で米中間の緊張高まる

3.ドイツのメルケル首相の弱体化

4.インドのモディ首相など新興国で改革なし

5.中東でマネーなどリソース不足

6.米・欧・英で中央銀行に政治的な批判が強まる

7.雇用増を目指すトランプ次期大統領と自動化を推進するシリコンバレーの対立

8.トルコのエルドアン政権が政治や経済、外交で困難な道のり

9.北朝鮮とトランプ次期大統領の対立

10.南アフリカのズマ大統領が政治的危機に直面

本記事のwiki的なことば解説

・大胆予想とは
銀行や証券会社、コンサルタントなどが年末に発表する来年の予想。

大胆予想やビックリ予想、10大予想や重大予想などと表現する。

起きる確率は低いものの当たれば世界経済に影響を与えるものを予想する。

荒唐無稽な予想ではなく、少なからず起きる可能性はあるものをあげるのが一般的だ。

2016年はドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利するというビックリ予想が目立ったが、現実のものとなった。



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