海賊版サイト対策のブロッキング、関係者の見方まとめ 学者は「憲法違反」
【海賊版サイト対策の「ブロッキング」について関係者の見方が分かれている】
海賊版サイト対策のブロッキング、関係者の見方まとめ 学者は「憲法違反」
漫画やアニメを作者たちから無断で公開する海賊版サイトへの対策で関係者の見方が分かれている。
政府は4月13日、「漫画村」、「Anitube」、「Miomio」の悪質な3サイトでは閲覧者の接続を技術的に遮断するブロッキングを民間事業者が自主的に導入すべきだと発表した。
ブロッキングは憲法が保障する「通信の秘密」を侵害する可能性はあるが、緊急避難(刑法第37条)の要件を満たす場合には違法ではなくなるという。
これに対して一般財団法人情報法制研究所(JILIS)は4月22日に緊急シンポジウムを開催。
慶應大学の亀井源太郎教授はブロッキングについて「通信の秘密を侵害し違法行為にあたる。ほかの方法もあるように思えるので緊急避難の条件を満たさないのではないか」と指摘した。
政府と学者の意見が相違する中、民間の事業者の声も上がってきた。
NTTグループは4月23日、「法制度が整備されるまでの短期的な緊急措置として、海賊版3サイトに対してブロッキングを行う」と発表した。
一方、ケータイWatchによるとKDDIは「検討中」、ソフトバンクは「ブロッキングは通信の秘密を侵害する懸念もあり、慎重な議論が必要」とコメントした。
クリエイターたちの利益を守るため「漫画村のような海賊版サイトは悪だ」との声は多い。
一方でNTTグループがブロッキングを行うことに対しては「政府の圧力で検閲が始まる」「まるで中国だ」との批判も目立つ。
また、海賊版サイトに対して利益を渡している広告代理店や広告主の責任を問う意見も増えてきた。
政府が名指しで指摘した3つのサイトはアクセスできない、コンテンツが閲覧できない状態が続いている。
・この記事の関連リンク
政府「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」:「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案)(概要)
情報法制研究所(JILIS):公式サイト
NTT:インターネット上の海賊版サイトに対するブロッキングの実施について
ケータイWatch:海賊版サイトブロッキング、KDDIとソフトバンクの見解は