東芝、半導体の売却先は 米WDや台湾の鴻海が入札に参加か
東芝、新しい半導体会社「東芝メモリ」の売却先は 米WDや台湾の鴻海が入札に参加か
東芝は2017年4月1日付で新会社「東芝メモリ」を設立した。
東芝は不正会計や米原子力事業の大幅な赤字で経営が厳しくなっている。
スマートフォンやデータセンターに使われる東芝の半導体メモリーは世界シェアが約2割の2位、トップの韓国サムスン電子の約3割に次ぐ。
東芝はグループで最後の有力事業と言われる半導体を他社に売却して生き残りを模索する。
ダイアログニュースは東芝の半導体事業の売却について会社発表と大手メディアの報道を随時更新、まとめていく。
ニュース目次・東芝の半導体会社 買収企業のまとめ
・2次入札、鴻海はソフトバンクやシャープと協力 TSMCは脱落か(2017年4月18日)
・1次入札に日本企業は参加せず(2017年4月5日)
・1次入札に参加した企業一覧
2次入札、鴻海はシャープと協力 TSMCは脱落か
東芝の半導体事業の売却は3月末締め切りの1次入札から2次入札に進んだ。
当初の10社から半分程度に絞られ、優先交渉先を決める2次入札は5月中旬に締め切る。
2次入札に進んだ台湾の鴻海の郭台銘董事長はトップ同士で親交のあるソフトバンクの孫正義社長に協力を要請、傘下のシャープと協力して、「海外に技術流出」との批判を防ぐという。
応札に参加している東芝と半導体を共同生産する米ウエスタンデジタルは4月に入り東芝に意見書を提出、半導体事業の売却には自分たちの同意が必要だと主張している。
半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は4月13日の決算説明会で東芝の応札への断念を明らかにした。
1次入札に日本企業は参加せず
日経新聞は2017年4月5日、以下のように報道した。
・東芝半導体、日本勢応札ゼロ 政府の支援に影響も
東芝の半導体メモリー事業の売却を巡り、3月29日に締め切った1次入札で、日本企業の応札がなかったことが4日までにわかった。
日立やソニーなどが入札に参加すれば、政府系の日本政策投資銀行や官民ファンドの産業革新機構が一緒になって後押しできる可能性もあった。
日本企業による東芝の半導体事業の入札がなかったため、日本政策投資銀行や産業革新機構は米企業や外資系ファンドと協力する方向になりそうだ。
東芝の半導体事業の売却をめぐっては「日本の重要な技術の海外流出を防げ」との声が多い。
一方で、東芝を含めた日本のグローバル企業は海外子会社や従業員は多く、株主も外国人が無視できない比率だ。
「技術の海外流出」は非常にあいまいな定義のため、議論は錯綜しがちだ。
1次入札に参加した企業一覧
東芝が新会社「東芝メモリ」を売却、買収する企業の入札に関しては日経新聞や読売新聞、ロイターやブルームバーグなどで広く報道されている。
大手メディアの報道をまとめると、1次入札に参加した企業は以下の通り。
現時点で東芝の三重県の四日市工場で半導体を共同生産している米ウエスタンデジタル(WD)が最有力と言われている。
なお、事業会社と投資ファンドの組み合わせの可能性もあり、半導体会社の買収をする事業体について公表はされていない。
1次入札の金額はあくまで仮であり、確定金額ではない。
東芝は2017年6月に控える定時株主総会までに半導体事業の売却を目指す。
・米ウエスタンデジタル(WD)
特徴:東芝の四日市工場(三重県)で半導体を共同生産
・韓国SKハイニックス
特徴:ファンドと組んで出資検討か
・米投資ファンドのシルバーレイク・パートナーズ
特徴:2兆円を提示しているという
・米半導体大手のブロードコム、2兆円
特徴:2兆円を提示しているという
・台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業
特徴:3兆円に迫る額を提示した。なお、鴻海は既にシャープに大規模に出資して子会社にしている。
・米グーグル
・米アマゾン・ドット・コム
・米アップル
・米マイクロンテクノロジー
・半導体受託生産(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)
・投資ファンドの米ベインキャピタル
・米独立系メモリモジュール製造メーカーのキングストン・テクノロジー
・投資ファンドのKKR
〜事前に出資を検討との報道〜
・政府系の日本政策投資銀行
・官民ファンドの産業革新機構