朝日新聞、「本業」の不動産が利益の8割まで上昇 リストラと非正規社員の活用で高収益 2019年3月期




朝日新聞、「本業」の不動産が利益の8割まで上昇 リストラと非正規社員の活用で高収益 2019年3月期

朝日新聞がメディア企業から不動産会社へと明確に変わった。

朝日新聞は6月26日、有価証券報告書により2019年3月期の業績を公表した。

売上高は前期比4%減の3750億円、営業利益は13%増の89億円だった。

リストラ費用に当たる早期割増退職金10億円を特別損失に計上したため、純利益は9%減の109億円だった。

【朝日新聞の過去5年の連結業績の推移  (単位:百万円)】

新聞の発行部数の減少が止まらず、従業員の退職金を減らすなどメディア事業は苦戦している。

一方、不動産事業は堅調そのものだ。

朝日新聞はメディア事業でリストラを進め、不動産事業では非正規社員を活用して高収益体質を目指している。

朝日新聞、不動産事業で利益のほとんどを稼ぐ

【朝日新聞の全体の営業利益と不動産事業の利益の推移】

朝日新聞は東京都の千代田区や中央区、港区や大阪市など好立地の不動産を保有している。

大阪の「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」、東京の「X-PRESS有楽町」と「東京銀座朝日ビルディング」が2017年に開業。

2019年3月期にテナント充足率は90%台となって利益を押し上げた。

新聞紙の発行部数の減少や電子化対応などで苦戦するメディア事業に対して、不動産事業は一貫して堅調な利益を稼いでいる。

全体の利益の対して不動産事業が占める割合は3〜5割前後だったのが、2019年3月期には77%と約8割に達した。




新聞事業の平均年収は1200万円 不動産は非正規社員を活用

【朝日新聞のメディア事業と不動産事業の利益と人員構成の推移】

高給で正社員を多く抱えるメディア事業に対して、不動産事業は非正規社員の比率が高い。

2019年3月期のメディア事業(親会社単体)の平均年収は1200万円(平均年齢45歳)だった。

セグメント毎に分析すると、メディア事業の社員は一人当たり20〜100万円の営業利益を稼ぐ。

アルバイトなど臨時従業員は少なく正社員の比率は85%前後だ。

一方、不動産事業の社員は一人当たり200〜400万円の営業利益に貢献している。

アルバイトなど臨時従業員の活用も大きく、正社員の比率は50%前後とほぼ半々だ。

朝日新聞は「本業」の不動産で利益を稼ぎ、「副業」のメディア事業を続けているのが現状だ。

・この記事の関連リンク

朝日新聞:有価証券報告書(2019年3月期)



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