保守派の代表格、西部邁氏が死去 遺言は「保守の真髄」に
保守派の代表格の西部邁氏が死去 入水自殺か
日本の保守派の代表格が亡くなったようだ。
TBSニュースバードや産経新聞は1月21日16時ごろ、「評論家の西部邁氏(78)が死去。多摩川で入水自殺か」と報じた。
東京都大田区の多摩川河川敷で1月21日の午前6時40分ごろに通行人から通報があり警察が川から男性を救助して病院に搬送するも死亡が確認、目撃情報などから自殺とみられるという。
西部邁(にしべ・すすむ)氏は日本の保守派の評論家として多くの知識人たちに影響を与えた。
60年安保闘争に参加するも左翼過激派と訣別、親米ではない右派の元東京大学の教授として論争を繰り返した。
一般にはテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ」での論客として知られる。
また、漫画家の小林よしのり氏の政治についての風刺漫画「ゴーマニズム宣言」で当初は著者と敵対的な立場で登場、その後に親交を深めていった人物としても有名。
西部氏はかねてから自分が肉体的に老いていった場合、自殺するとほのめかしていた。
西部氏を支えていた妻は2014年に亡くなっていた。
遺言は講談社の「保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱」に
西部氏は炎上芸人とも言われるウーマンラッシュアワーの村本大輔氏と2017年末にAERAの対談に登場した。
(記事:西部邁×村本大輔「投票経験なし」対談 フェイク飛び交う時代の民主主義)
著作では講談社現代新書が2017年12月13日に発売した「保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱」が遺言になりそうだ。
「保守の真髄」は国民が政治や文化に関する能力を身につける必要があると説き、「大思想家・ニシベ最期の書」と銘打たれていた。
集大成は中央公論新社の「ファシスタたらんとした者」
また、西部氏は2017年6月7日に中央公論新社から「ファシスタたらんとした者」を発売した。
これは「思想家・西部邁」にとっての集大成とも言える回想録になっている。
主語は「私」ではなく「この男」「彼」「老人」と、西部氏が自身を第三者の視点から描く。
「転向なんかして恥ずかしくないのか!」と罵声を浴びせられた時は「俺はな、蝶なんだよ。変態してるんだよ」とやり返した西部氏の私小説であり、一代記だ。