VALUとは、人の株式化 人間オークション・サービスの値付け
VALU(バリュー)とは、人の株式化 「人間オークション」や「サービスの値付け機能」の側面も
個人の価値を売買する新サービス「VALU」が注目を集めている。
上場している株式会社のように特定の個人の価値を市場の売買で決めるサービスVALUは2017年5月31日にサービスをリリースした。
通貨は仮想通貨のビットコインを使用する。
VALUとはどんなサービスなのか、価格決定機能はどのようになると予想できるのか。
現実の株式市場と比較して検討していく。
(注:現在はVALUのサービスがベータ版のため、内容は大きく変わる可能性がある)
目次・VALUとは
・簡単な解説
・株式との類似点
・株式との相違点
・人間オークション、人が提供するサービスの値付け機能
・VALU株を純資産で評価する方法(PBRに類似)
・VALU株を利益と期待で評価する方法(PERに類似)
・注意点1、ただの投機
・注意点2、ビットコインの価格変動
・注意点3、アイドル参入や風俗化
・VALUで稼いでも税金
・VALU公式サイトが落ちる
VALUとは、簡単な解説
(画像:VALUホームページ)
VALUとは株式会社のように人の価値をビットコインを使って表現するトレードサービスだ。
人を株式会社に見立てて擬似株式を発行、市場で不特定多数がその「人」を売買する。
サービス開始時点ではまだ不明な点も多いが、有名人や特別な優待を付ける人間には高い価格が付きやすい。
VALUでは株式市場における「投資家」と「会社」の2つの立場を誰もが担える。
投資家の立場ではビットコインを使ってVALUに上場している個人株を売買できる。
会社の立場では自分がVALUに上場して、自分の価値が不特定多数の人間に売買される。
VALUの公式サイト:https://valu.is/
「何だかよくわからないサービスが出てきましたね。VALUっていったい何ですか?」
「ビットコインを使って人の価値を売買するサービスとうたっているね。サービス開始時点では曖昧な部分も多いように見える。一つずつ、ゆっくり見ていこうか」
株式との類似点
「パッと見だと、VALUって株式市場のシステムをそのまま個人に持ち込んだように見えますね」
「もともとのアイデアが個人を株式市場に見立てたらどうなるか、だろう。誰もが考えるけれどなかったサービスを立ち上げると反響は大きいね」
「投資家の立場で見ると、トヨタやソニーじゃなくてホリエモンやイケハヤの株を売買する感じかしら」
「まずは有名人の人気投票の側面が強いね。もちろん、新サービスの開始当初なので誰もがよくわからないけど可能性を感じて参加している程度だが」
株式との相違点
「一番の違いは会社じゃなくて人が売買の対象になることですよね」
「そうだね。人の価値というのは数字にしにくいのは誰でもわかると思う。ただ、不特定多数の人間が売買を続ければ、有名人や芸能人、ユーチューバーやインフルエンサーなど人の価値が可視化できるかもしれない」
「ビットコインを使わないと参加できないって面倒じゃないですか?」
「仮想通貨のビットコインをVALUの通貨に使うことで、いろんな法律をクリアしようとしたんじゃないかな。いわゆる現金で人を株式に見立てた市場サービスを作ろうとすれば、多くの法律が引っかかるだろう」
「株式って会社の所有権を売買してるんですよね。VALUだと人の何を売買するんですか?」
「そこは判断が難しい。良い意味での人間オークション、もしくは人が提供するサービスの値付け機能を持つかもしれない」
人間オークション、人が提供するサービスの値付け機能
「VALUは人の価値を売買するんですよね。それって人間オークションなのかしら」
「そういう側面は持つだろう。ホリエモンは影響力があるからみんながホリエモン株を持ちたがる。誰も知らない一般人は関心が薄いから一般人株は安いという傾向にはなるだろうね」
「VALUは人の持つ価値を見える化するだけのサービスなんですか?」
「サービス提供者がどこまで認識しているかはわからないが、鍵となるのは優待の概念だね。」
「優待って何ですか?」
「VALUでは個人株の提供者が株主(個人株の保有者)に対してなんらからのサービスを与えることができる。一般の株式でいう株主優待だね」
「株を持ってると、その会社が売っているお菓子やお米を貰える株主優待ですね」
「そうだね。場合によってはVALUとは個人の価値を可視化するのではなく、握手会やライブなどのサービスの価格を決める市場になるかもしれない」
VALU株を純資産で評価する方法(PBRに類似)
株式市場では一つの銘柄の株価の価値を推定する方法として株価純資産倍率(PBR)がある。
PBRとは企業が持つ会計上の資産の価値と株価(時価)の比率がいくらになるかを表す。
例えば、現金100億円だけを持つ企業の価値の理論的価格は100億円だ。
現金100億円の企業の時価総額が100億円であればPBRは1、その企業の時価総額が200億円ならばPBRは2倍になる。
「VALUで人の価値を可視化するのって難しくないですか?わからないことだらけで売買する基準が持てないですよ」
「現時点で無理やりVALUの価値基準を作るならば株式市場で使われるPBRが一つの判断になりそうだ。VALUで上場している個人が発表する優待を現実の価格で判断できそうだ」
「どういうことですか?」
「VALUで誰から優待を作ったとする。例えば、ホリエモンが自分と1時間おしゃべり出来るという優待を作ればみんなで価格設定も想像しやすいだろう」
「なるほどですね。ホリエモンとの1時間おしゃべりが100円だったらみんなが殺到しそう。5000円ぐらいだったら絞られるのかな。10万円だったら、少数の人しか希望しなさそうですもんね」
「VALUで価格の参考になるとすれば優待だろうね。例えば、AKB48のアイドルが優待を握手会一回とすれば、実際にある同じサービスである価格の1000円前後に収斂する可能性がある」
VALU株を利益と期待で評価する方法(PERに類似)
株式市場では一つの銘柄の株価の価値を推定する方法として株価収益率(PER)がある。
PERとは企業が会計上で稼ぐ力(利益)と株価(時価)の比率がいくらになるかを表す。
例えば、1年間で10億円の利益を稼ぐ企業の時価総額が100億円であれば、PERは10倍となる。
PER10倍の企業に投資するというのは、その企業に投資した金額が10年間で返ってくるという意味になる。
「でも、株式って今後の期待で株価が決まりますよね?株式って今稼いでるよりも、これからどれだけ稼げるかを予想するゲームじゃないですか」
「将来の期待である予想PERの概念を考えれば、VALU株の評価も難しくなるね。現時点でVALU株の評価にPERを適用する場合、投資対象の人がどれだけの優待を用意してくれるか、という意味になるだろう」
「VALUでの株価が上がっても、その相手が何もしなかったら意味ないですもんね」
「VALUでの株価が上がってもそれに相当しない優待であれば株価も下がっていくんじゃないかな。ただ、株価が高いからそれに応えようとして優待のレベルを本人が上げていくという展開もありえそうだ」
注意点1、ただの投機
「ネットでは批判されまくっているVALUですけど、ちゃんと価格設定機能もありそうじゃないですか」
「一番注意すべきは、現時点ではただの投機、ギャンブルということだ。今はVALUに上場する人もお金を使う人もどういうサービスになっているか想像しにくい。みんなが想像だけで売買しているギャンブルの状況だ」
「そもそも、VALUに投資するために使う通貨がビットコインですからね。」
「現状の日本でビットコインを持っている人は一攫千金を狙う人が多いだろう。ビットコインを使って、さらに新サービスでの市場となると新興市場のマザーズやジャスダックも真っ青の超投機的市場だね」
注意点2、ビットコインの価格変動
「ビットコインしか使えないっていうのは難しいですね」
「ビットコインを経由するだけにVALU上での時価は本人の価値だけではなくビットコインの変動の影響も受ける。VALU上での価値が上がっても、ビットコインの価格が下がれば日本円での実質的な価値は下がるよ」
「ビットコインの価格は乱高下しますからね。中国人が8割ぐらいと言われるビットコインの市場の影響って、VALU内での価格変動より影響が大きそうです」
「VALUはサービスが開始したばかりで価格が大幅に上下するから、当面はビットコインの価格の影響なんて気にならないだろう。VALUでの価格が落ち着くのであればビットコイン価格の変動も気になってしまうだろうね」
注意点3、アイドル参入や風俗化
「人の価値にランキングをつけるのってAKB48の総選挙みたいですね」
「VALUにアイドルが大挙して参入してくる可能性はある。AKBの総選挙は投票時期を区切っての選挙だけれど、VALU上では継続的にアイドルのランキング価値を決め続けることも可能だ」
「VALUは有名人のランキングじゃなくて、アイドルのランキングを決める市場になるかもしれませんね」
「いわゆる風俗化の可能性もある。優待の条件にそれを匂わせるだけの文章であれば市場が取り締まるのは難しいかもしれない」
注意点4、VALUでの譲渡益に課税の可能性
「VALUで安い時のホリエモンを買って、高くなって売ってビットコインを現金に換金すれば大儲けできそうですけど」
「原理的にはVALU上の売買でビットコインを通じて現金を大儲けすることも可能にはなりそうだ。ただし、VALUで儲かったお金も税金がかかるであろうことには注意が必要だね」
「仮想通貨の売買って税金がかかるんですか?」
「ビットコインも含めて、仮想通貨は『金』のようなコモディティ(商品)の扱いを受ける方向にある。持っているだけの利益(含み益)には課税されないかもしれないが、利益が出る売買(譲渡益)には税金がかかる可能性が大きいことには気を付けるべきだね」
VALU公式サイトが落ちる
サービスを開始したVALU公式サイトは6月に頻繁に緊急メンテナンスを繰り返している。
VALUの公式サイト:https://valu.is/