仮想通貨取引所コインチェック、月間の取引高4兆円 ハッキング被害580億円の補償原資に
仮想通貨取引所コインチェック、月間の取引高4兆円 ハッキング580億円の8割補償の原資は豊富か
仮想通貨取引所コインチェックの580億円ハッキング事件がさらなる展開を見せている。
コインチェックは1月26日、仮想通貨ネム(XEM)で時価580億円がハッキングにより不正流出したと発表した。
2014年の仮想通貨取引所「マウントゴックス」の経営破綻を超えた世界の取引所でも最大の事件に発展した。
さらにコインチェックは1月27日の深夜、不正流出したネムの保有者全員580億円について日本円460億円(事件発覚後から補償発表までのレートで換算)で返金すると発表した。
ベンチャー企業であれば500億円規模の補償金を払う体力はないが注目されるのはコインチェックの月間4兆円もの取引高だ。
コインチェックは補償金の原資について「自己資金より実施させていただきます」と明言している。
コインチェック、月間の取引高は4兆円 ネット証券1位は7兆7000億円
コインチェックの大塚雄介取締役は2018年1月8日配信のBSスカパーの経済番組「Bizトーーク!」に出演した。
大塚取締役は番組でコインチェックの月間の取引高について「4兆円」だと明かした。
同じく大手の仮想通貨取引所のビットフライヤーの取引高は10兆円という。
ここで、株式市場のネット証券で委託個人売買代金シェア1位のSBI証券の実績と比較してみる。
SBI証券の2017年3月期の年間の委託売買代金は92兆5156億円(うち信用取引は63兆3975億円)。
単純計算で月間の委託売買代金は7兆7000億円だ。
SBI証券の2017年3月期の営業利益は379億円だった。
コインチェックの取引高とSBI証券の委託売買代金が全く同じ性質で稼ぐ力も同じと仮定すると、コインチェックの年間の営業利益は約200億円になる。
もっとも、株式市場のネット証券は安さを追求した手数料競争を続けてきており、仮想通貨の取引所と環境は全く異なる。
新興の仮想通貨市場ではリスクの高さから仮想通貨取引所が莫大な手数料収入を徴収しているとの見方は多い。
コインチェックの年間の営業利益がどれほどかは全く未知数だが、一般のベンチャー企業とは桁違いの可能性は高い。
ただ、大塚取締役が1月26日の謝罪会見で取引高への質問について「答えられない」と回答したのには疑問が残る。
コインチェック、今後の営業は不透明 返金の期日は未定
読売新聞は1月28日に金融庁がコインチェックに対して「週内にも行政処分を行う方針を固めた」と報じた。
改正資金決済法に基づく業務改善命令、さらには一部業務停止命令も出す可能性があるという。
コインチェックがこれまでと同様の規模で営業を続けられるかは極めて不透明だ。
これまでコインチェックで仮想通貨を売買してきた投資家も、今回の事件をきっかけに大手のビットフライヤーやZaif(ザイフ)に流れていくだろう。
コインチェックは460億円もの補償金の返金期日について「補償時期や手続きの方法に関しましては、現在検討中」としている。
コインチェックの580億円ハッキング事件の終着点はまだ見えていない。