韓国政府、仮想通貨の取引所閉鎖案「意見調整後に決定」「投機は自己責任」

【2017年12月中旬〜2018年1月中旬のビットコインのチャート、コインチェックより】

韓国政府、仮想通貨の取引所閉鎖案は「意見調整後に決定」「投機は自己責任」

ビットコインなど仮想通貨の取引の規制を巡り韓国政府は1月15日、「仮想通貨に対する政府の立場」を明らかにした。

法務部から浮上した仮想通貨取引所の閉鎖案について国務調整室は「政府レベルで十分な協議と意見調整過程を経て決定する」と述べた。

聯合ニュースなど韓国の大手メディアが報じた。

法務部長官が言及した取引所閉鎖案は「投機抑制対策の一つ」であり、省庁間の意見調整が必要であるという。

2017年末に打ち出した取引所の実名制の徹底や相場操作・資金洗浄・脱税など不法行為については厳正に対処していく。

一方で仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンについては「研究開発などの投資をサポートしていく」と述べた。

また、「仮想通貨は法定貨幣ではなく誰も価値を保証していない」と明言、仮想通貨へのマイニングや投資、投機行為など一連の行為は「自己責任のもと、慎重に判断する必要がある」と指摘した。




2018年1月上旬の韓国の動き

韓国法務部の朴相基(パク・サンギ)長官は1月11日、仮想通貨の取引所での売買を禁じる特別法を近く施行すると発表した。

仮想通貨の取引が盛んな韓国の規制で市場から資金が流出するとの懸念からビットコインの価格が急落、日本円ベースでも1月11日朝の1ビットコイン=183万円前後から1月12日の朝には161万円前後と1日で12%下落する場面があった。

韓国は2017年までに仮想通貨取引所の実名確認など新たな規制を相次いで発表、仮想通貨の価格急落を招いた。

ただ、韓国法務部が仮想通貨取引の全面禁止を発表すると国民が大反発、韓国の大統領府ホームページの国民請願掲示板に仮想通貨取引の継続を希望する請願には同意者が殺到した。

韓国法務部から7時間後の11日、韓国大統領府は仮想通貨取引の全面禁止について、最終決定したものではないとの見解を示した。

韓国の混乱を受け、日本では麻生太郎財務・金融相は1月12日に仮想通貨取引について「なんでもかんでも規制すればいいとは思わない」と指摘、利用者保護とイノベーション(技術革新)のバランスに注意すると発言した。

2017年末の韓国政府の動き

韓国政府は12月28日、ビットコインなど仮想通貨の取引に対する新たな規制を打ち出した。

韓国の聯合ニュースなどが報じた(記事リンク)。

報道を受けて12月28日にビットコインの価格が急落した。

韓国政府の関係省庁が集まった金融委員会が12月28日に声明を発表、仮想通貨の取引では実名確認の徹底、従来の金融機関の仮想通貨取引の口座の新規提供の即時の中止、当局による調査権限の拡大を盛り込んだ。

現在の仮想通貨取引の口座利用者では早急に本人確認が必要なシステムを求め、本人確認が取れた口座のみ入出金を許可する。

韓国では日本や米国以上に仮想通貨への投資が熱を帯び、中学2年生が月20万ウォン(約2万円)の小遣いを4000万ウォン(約400万円)まで増やしたニュースが有名。

韓国政府は12月13日に打ち出した仮想通貨に関する規制の方針

・銀行が仮想通貨を保有したり取引の担保に仮想通貨を充てる
・未成年者や外国人の取引を禁止
・預金が口座から出入金される過程での本人確認の徹底を求める
・ビットコインなどの仮想通貨の取引自体は禁止しない。

一方で韓国は仮想通貨を正当な通貨とみなさないという。

韓国の仮想通貨の規制を巡ってはこれまでにビットコイン価格が乱高下していた経緯がある。

ビットコイン価格は12月13日10時、1ビットコイン=198万円前後だったのが12時時点で185万円前後と2時間で7%下落した。

それから1時間後の13時ごろには1ビットコインの価格は192万円前後まで回復した。

日本と同様にビットコインの売買が盛んな韓国での仮想通貨(暗号通貨)の取引規制を警戒する動きが広がっていた。

韓国のビットコインについては12月11日、韓国企画財政省が取引を規制すべきかどうか関係省庁間で協議していると明らかにした。

また、法務省が仮想通貨取引の全面禁止を提案しているとも伝わっていた。

ロイター通信は12月13日の12時、韓国政府は共同声明で仮想通貨の取引でのキャピタルゲインの課税を検討すると報じた。

韓国の聯合ニュースは12月14日14時、韓国は金融機関の仮想通貨の保有や買取、持分投資を禁止すると報じた。




韓国、ビットコインの取引量は世界で15%前後、課税明確化で日本と同様になるか

【2017年12月〜2018年1月の世界のビットコインの取引の割合、コインヒルズより】

2017年の韓国は日本と同じくビットコイン大国になっている。

2016年はビットコインの取引は中国が取引の大半を占めていたが、中国での規制強化をきっかけに日本と米国、韓国が台頭した。

韓国ではビットコインの取引が危険なギャンブルとみなされ、規制強化の報道がたびたび伝わっている。

一方、日本は既に2017年8月と12月、国税庁がビットコインは雑所得にあたるとして売買で得た金額によっては0〜55%(住民税含む)の課税対象になると発表している。

・2017年9月以降の東アジアでのビットコインの規制の動き

9月4日:中国でICOが禁止

9月29日:韓国でICOが禁止

9月30日:中国の大手取引所が仮想通貨取引を停止

12月19日:韓国は仮想通貨を正当な通貨とみなさず、一方で取引を規制しないと発表

注:ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは仮想通貨の技術を使った企業による資金調達




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