朝日新聞、2017年3月期の営業利益は4割減 利益の7割は不動産に変化
朝日新聞、2017年3月期の営業利益は4割減の70億円 利益の7割は不動産に変化
朝日新聞の2017年3月期の有価証券報告書が6月26日、金融庁のEDINETで公開された。
新聞の朝刊発行部数は前年同期比4%減と苦戦が続き、営業利益は前期比4割減の70億円だった。
ネットメディアの台頭、自ら虚偽と認定した従軍慰安婦報道などによるブランド力の低下が響いた。
新聞などメディア・コンテンツ事業の利益は前期比8割減と大幅に減少した結果、朝日新聞はグループ全体の利益の7割を不動産事業が稼ぐ企業に変化した。
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目次・朝日新聞社の2017年3月期の業績
・決算の概略
・セグメント別の利益
・利益の構成比は不動産が1位に
2017年3月期の決算、概略
(単位は億円、%は前期との比較)
朝日新聞の2017年3月期の連結全体での決算は、売上高が前期比5%減の4009億円、営業利益が42%減の70億円、経常利益が19%減の86億円、純利益が2倍強の91億円だった。
主力の新聞などメディア事業の苦戦が続いた。
広告はインターネット向けの取り扱いに注力したものの、新聞の部数減が響いた。
前年に計上した大阪の貸事務所の減損損失43億円の影響がなくなったため、純利益は大幅増となった。
「朝日新聞の今回の決算は悪かったみたいですね。やっぱり新聞の発行部数の減少が大きいのかしら」
「紙の新聞を読む人が急激に減っているのは明らかだ。他にも新興のニュースサイトが続出しているため、今から有料で紙の朝日新聞を取ろうという人は少ないだろうね」
「でも、2017年3月期は企業にとって最も大事な純利益は大幅に増えていますよ」
「昨年に大阪の貸事務所や遊休資産で50億円の減損損失を計上しているからね。今回の決算の減損は5億円程度のため、前期と比較してしまうと純利益は大幅増に見えてしまう」
「じゃあ、決算の中身をもう少し見てみよう」
セグメント別の利益 メディアは8割減・不動産は1割増
(単位は百万円、%は前期との比較)
2017年3月期の業績をセグメント別に見てみると、メディア・コンテンツ事業の売上高は前期比5%減の3675億円、営業利益は78%減の15億円だった。
不動産事業の売上高は2%増の201億円、営業利益は13%増の49億円だった。
放送や文化講座、人材ビジネスなど「その他の事業」の売上高は7%減の132億円、営業利益は35%減の5億円だった。
「メディア事業の利益が大幅に落ちてますね。ネットでの朝日新聞批判が効いているのかしら」
「ツイッター上では朝日新聞の公式や記者のアカウントが頻繁に批判、炎上しているからね。紙の新聞に親しんでいた50代以上はともかく、今の10代や20代にとって朝日新聞のイメージは過去とは比べられないだろう」
「メディア事業の売り上げは5%しか減ってないのに、利益は78%も減ってますよ」
「一般的に言ってメディア事業の原価は人件費など固定費の比率が大きく、材料などの変動費は小さい。部数の減少は利益の縮小にダイレクトにつながる。また、紙の新聞に広告を出したいという人も減っているだろう」
「でも、不動産事業は前期から13%増としっかりしてますね」
「良い土地を持っている企業は不動産事業が強い。おかげで、朝日新聞の利益構造が面白くなってきたね」
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営業利益の構成比、メディアは58%から22% 不動産は36%から71%から1位に
朝日新聞の営業利益の構成比をみるとこの1年で大幅に変化した。
2016年3月期の営業利益120億円のうちメディアは69億円で全体の58%、不動産は43億円で36%だった。
2017年3月期の営業利益70億円ではメディアが15億円で全体の22、不動産は49億円で71%と過半を占めた。
「利益の構成だけ見たら、朝日新聞は新聞社じゃなくて不動産屋になってます」
「2017年3月期の決算の結果だけを見れば、朝日新聞社グループは不動産で稼いでいる株式会社だと表現できるね」
「不動産部門の売上高営業利益率は24%って高いじゃないですか。朝日新聞は不動産会社になっちゃえばいいんじゃないですか?」
「内情は有価証券報告書だけではわからないが、新聞事業があっての不動産事業になっているんじゃないかな」
「大手メディアでの国有地の払い下げ問題とかが再燃するんやないか」
「朝日新聞も含めて、従来の大手メディアが本業で稼げなくなって不動産を頼りにする状況が続けば批判の声は大きくなってくるだろうね」
「朝日のメディア事業の利益が赤字になるか、それとも系列のハフポスとかで採算改善するか見ものやな」
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