実況速報、メルカリ株主総会 上場後で初、株主の意見 国内好調も海外では大幅赤字
実況速報、メルカリ株主総会 上場後で初、株主の意見 国内好調も海外では大幅赤字
フリーマーケットアプリ大手のメルカリが9月28日、上場後で初の株主総会を開催した。
2018年のIPO市場で最も注目を集めたメルカリの株価は、初値は好調だったもののその後は軟調に推移している。
フリマアプリの市場拡大をけん引してきたメルカリは国内では好決算を叩き出す。
一方、海外では大幅な赤字が続いており、2018年6月期の全体での最終損益は70億円の赤字だ。
山田進太郎会長は「中長期の成長を応援して欲しい」との発言に終始。
株主からは「発言が曖昧すぎる」「具体的な数字を示して欲しい」と不満の声が続出した。
2018年のメルカリの株主総会の模様をリアルタイムで更新した。
目次
メルカリ株主総会2018、要約
・国内は安定成長、米国は先行投資のフェーズ
・米国事業の赤字解消時期は示せない
・2019年6月期の業績見通しは困難、株主は中長期で応援して欲しい
・米国とメルペイはここ数年で結果が出ると考えている
・成長段階の投資のため、一時的な株主還元策は使わない
・米国では寄付に絡んだ施策を検討中
・ブロックチェーンは研究開発の文脈で進めているが、現在において決定していることはない
メルカリ株主総会2018、会社説明
冒頭に山田進太郎会長が形式的な挨拶。
2018年6月期の決算の概略を動画で説明、日本のメルカリは安定成長、米国メルカリは先行投資のフェーズと紹介。
メルカリ株主総会2018、株主との質疑応答
(注:発言者名に記載のない回答は全て山田会長)
ーー米国と日本市場の違いについて、米国での効率が悪いのではないか
「米国は先行投資フェーズなのでMAUは非開示。ダウンロードの効率性はアクティブなユーザーを示すものではない。米国はアプリ自体の数が多いので、1ダウンロードあたりに残るお客さんが少ない」
ーー米国での赤字解消時期は
「差し控える。利益よりもトップラインの成長、中長期での株主価値の向上を目指している」
ーー上場での資金用途
「メルカリ拡大の広告宣伝費、人材確保の人件費、借入金の返済、サービスの付加価値向上の投資資金」
ーー赤字、株価に対する対応は
「メルペイや米国での先行投資もあり当社は成長段階。中長期での成長を見据えた展開。株価低迷で迷惑をかけるが、一時的な株主還元策ではなく、中長期での成長が最大の利益還元」
ーースマホと違いPCでの使い勝手が悪い
浜田取締役「99%の客がスマホを使っている状態。優先順位はあまり高くないものの、改善は進める」
ーー米国はチャリティーが一般的、売り上げの何%をチャリティーにするなど社会貢献に絡んだ施策は
ラーゲリン取締役「ご指摘の通りいらなくなった物は寄付は多い。細かいことは申し上げられないがアメリカチームも把握しており、寄付を取り入れながら施策を検討している」
ーー国内のダウンロードに対するMAU、活性化策は
「社内ではMAUをKPIにしている。活性化はCMでの特定カテゴリー、スマホ機能の強化、より掘り起こしていく」
ーー上場後の変化は
「金融事業をやっていく中で社会的な責任を感じている。ガバナンスを重視して社会の公器になるべく頑張っていきたい」
ーー日本と違い米国は広大で多民族、物流も不安定、個人間のアプリでの障害は
「アメリカでも日本と同様に中古品マーケットは存在する。イーベイの北米市場規模は4、5倍と言われ、EC化率は日本より進んでいる。サービスを改善していけば日本と同様に成長していくことが可能と考えている」
ーー赤字の解消時期を答えられないのは何故か、今期の業績見通しは10億円の黒字ではないのか、この2ヶ月で状況が変化したのか
「メルペイ、海外事業に先行投資で今期の連結は赤字。今期の業績予想は困難で非開示にしている。我々から業績予想を出してはいない」
ーー同業他社と比較してメルペイの強みは
「メルペイは準備段階で戦略を練っている。詳細な戦略は開示を控える」
ーーメルペイに関連してブロックチェーン事業に投資する意欲は
「研究開発の文脈で進めているが、現在において決定していることはない」
ーー現金や甲子園の砂が出品されるなど問題がある、チェック機能は
「非常に反省している。これからも禁止出品商品の検討は違法なものに加えて、倫理的な観点から検討を行う形に変えてきている。AIの活用も進めている。400人のカスタマーサポートで対応しているが、AIによる不正商品の検知で身分証の提示なども求めている。サービスの安全性の確保が最重要で積極的に対応していく」
ーーメルペイでのアフィリエイトプロモーションは実施するか、メルカリIDとの連携は
「メルペイのプロモーション施策は検討中で決定した事実はない。メルカリIDと連携していくが、詳細は控える」
ーー上場後で初の株主総会だが山田会長は表面的な話に終始している、中長期の具体的な意味は(株主から拍手)
「初めての総会は不慣れで申し訳ない。数十年プランのミッションはあるが、中長期はそことは違う。まずは米国事業とメルペイの立ち上げ、ここ数年で結果が出ると考えている」
ーー2019年6月期の業績が見通せない、決意も出せないのか 小泉社長の責任は重大(株主から拍手)
「当社は成長段階で中長期での経営を行っている。株主の皆様には中長期で応援してほしい」
ーー米国は既に競合があるのに何故、進出するのか、イーベイとの差別化は
「日本でもヤフオクがある中で進出したがスマホ特化で成功した。イーベイはBtoCがメインでCtoCのメルカリとは異なる。中古品市場は米国の方が日本より極めて大きい。個人に使い勝手の良いサービスの提供で成長できる」
「米国以外の海外では英国の成長に注力している。それ以外の国については、英国の成長を見極めた上で考える」
ーー中長期と言っているが、来年の業績はどうなるのか
「当社は成長フェーズで10年先を見極めるのは困難。成長機会を見極めて挑戦したい」
ーー米国撤退の可能性は
「1年かけてローカリゼーションなどを行っている。特定エリアのラジオや屋外広告、これから着実に伸ばしていく。規律を持って投資をしていく」
ーー既存事業の他に何か考えているか
「フリマアプリではない新しい事業も検討していきたい」
ーー山田会長の回答が曖昧すぎる、準備不足か社内のコンセンサスがないのか(株主から拍手)
「ご意見として頂戴して今後に生かします」
ーー米国では物流の仕組みが違う、戦略や事業の重要性は
「米国では様々な戦略がある。具体的な戦術はここで申し上げられないが、着実に成長してきており日本を超える市場になると考えている。重要だが、投資については規律をもってやっていく」
ーー山田会長はメルカリでどんな世の中を作っていきたいのか、想いを聞かせて欲しい
「メルカリのアイデアは会社設立前に世界一周をした時、新興国の人々が豊かな生活をおくることができないかと考えていた。日本ではスマホが普及、世界中の人々が効率的に資源を使い、みなが豊かな生活ができるのではないかとの想いからメルカリを作り始めた」
「インターネットプロダクトを作るのが私の全てだと思っている。世界にできることを最大限にやっていき、世の中が良くなることを目指したい」
ーーなぜアジア市場ではなく米国市場を選択するのか
「アメリカは世界の縮図。アメリカで成功できれば他の国でも成功できる。東南アジアなどは決済や配送のインフラが我々のサービスに対して不十分。優先順位は低い」
ーー米国に出るなら中国市場も進出すべきでないのか
「双方に大きな市場とは理解している。ただ、両方の国を同時にするのは体力的な課題がある」
ーー小泉社長も話して欲しい
小泉社長「メルカリは5年半の若い会社だが、大きな資金調達によるマーケティングで今の日本事業の利益がある。日本はまだマンスリーで1000万強。ただ、スマホは8000万人規模のマーケットでポテンシャルは大きい」
「日本の黒字についても、会社は中長期で経営していきたい。会社のお金を無駄に使ってはならないと考えている。有効に資金を利用して中長期での成長にコミットしていきたい」
ーー役員は男性だけだが、ユーザーは女性や主婦が多いのではないか
「課題意識はある。性別や年齢を選任の理由にはしていないが、性別や国籍とわず選任する考え」
ーービジョンのない会社で失望した、会長が事業計画も説明できない、吸収分割って何だ
「私の答弁で申し訳ない。ご指摘の部分は改善していきたい。吸収されるのはメルカリの決済事業の部分。メルカリのポイント、売り上げをメルペイに移管する」
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メルカリ:会社HP