日銀副総裁、仮想通貨など暗号資産「支払決済に広く使われていく可能性は低い」

日銀副総裁、仮想通貨など暗号資産「支払決済に広く使われていく可能性は低い」

日銀の雨宮正佳副総裁は10月20日、日本金融学会2018年度秋季大会プログラムに出席して「マネーの将来」について講演した。

雨宮副総裁は幅広い支払決済手段を指す「マネー」について情報技術革新により支払決済手段のデジタル化が進むとの見方を示した。

仮想通貨など暗号資産については信用を築くためのマイニングでの膨大な計算や、それに伴う大量の電力消費などのコストがかかると指摘。

そのため、「信用と使い勝手を備えたソブリン通貨(円やドルなど法定通貨)を凌駕する形で、支払決済に広く使われていく可能性は低いように思う」と述べた。

一方で暗号資産の基盤技術であるブロックチェーンや分散型台帳技術は有望な技術だと評価、「これらの技術をソブリン通貨などの信用と結びつけることで、取引や決済の効率化を実現できる可能性もある」と将来の展望について語った。




日銀副総裁の見るマネーの将来 5つのポイント

1.マネーに求められる「信用」と暗号資産
暗号資産はマイニング、大量の電力消費など制約が大きい。
暗号資産が法定通貨を超えて支払決済に広く使われていく可能性は低い。
基盤技術のブロックチェーンや分散型台帳技術は、有望な技術

2.キャッシュレス化の一段の進展
マネーの本質が信用にある以上、必ずしも金属や紙という形をとる必然性はない。
キャッシュレス化が生活の利便性向上に結び付く局面が増えてる。
法定通貨でデジタル情報技術を活用する形での支払決済のキャッシュレス化は一段と進む。

3.マネーとデータの接近
デジタル化された支払決済手段は「誰が、いつ、どこで、何を買ったか」といったデータまで媒介することも可能。
金融サービス提供主体は「情報バンク」、「データバンク」としての性格を一段と強めていく。

4.「二層構造」の意義
中央銀行と銀行など民間主体との「二層構造」は今後も維持される。
現金には電力に依存しないというメリットがある。
中央銀行デジタル通貨が預金を代替すると、民間イニシアチブを活かした成長資金の配分といった観点から論点が多い。
日銀は現在、一般の支払決済に広く使えるようなデジタル通貨を発行する計画はない。

5.中央銀行の役割と機能
キャッシュレス化が進んでも中央銀行の金融政策は有効。
暗号資産は広範に普及せず、クレジットカードなど様々な決済手段が発展したが金融政策の有効性に大きな影響なし。

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日銀:【講演】マネーの将来 日本金融学会2018年度秋季大会における特別講演



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