仮想通貨の税金、改正に向け議論始まる 交換での課税繰り延べには道筋も
仮想通貨の税金、改正に向け議論始まる 交換での課税繰り延べには道筋も
仮想通貨を巡る税制改正に向けての議論が始まった。
日本維新の会の藤巻健史参議院議員は3月22日、財政金融委員会で財務省主税局長などに仮想通貨の税制について質問した。
ブロックチェーンの技術に対して税制が遅れていると指摘、「取引では申告分離課税(20%)、仮想通貨同士の交換は非課税にすべきだ」と主張した。
現状の仮想通貨の取引で得た利益には総合分離課税(最大55%、住民税含む)が課せられる。
一方で、株式・外国為替証拠金取引(FX)で得た利益には特例が適用され、住民税を含めて約20%が税金の対象(申告分離課税)になる。
藤巻議員は「仮想通貨の取引の利益でも将来的にFXと同じように申告分離課税(20%)にする可能性はあるか」と質問した。
星野次彦財務省主税局長は「FXは為替リスクの回避など重要な役割がある。幅広い投資家の参加を促すために申告分離課税(20%)を適用しているのであって仮想通貨を同列に論じるのは難しい」と現時点では否定的な見方を示した。
さらに、藤巻議員は「ブロックチェーンという技術や市場を育てるため、税の公平性という観点からも仮想通貨取引の利益は申告分離課税(20%)にするべきだ」と主張。
星野主税局長は「申告分離課税の適用には投資家保護規制が重要で、さらにその取引を国が支援するのが前提だ」と述べた。
仮想通貨での税金がFXと同様に低くなるためには、政治家たちがブロックチェーン技術を含めた仮想通貨を政策として支援する必要がある。
仮想通貨同士の交換、課税の繰り延べには一定の道筋
国税庁が2017年12月1日発表した仮想通貨に関する税金の計算方法では、仮想通貨同士の交換(ビットコイン→イーサリアム→リップルなど)でもその時点での値上がりに対して税金がかかる。
仮想通貨同士を交換して法定通貨(日本円、JPY)に変えない場合、取引で莫大な利益が出ていても現金がないために税金が払えないケースも出てくる。
藤巻議員はブロックチェーンが発達していけば仮想通貨同士の仲介など連鎖的な状況ができあがり、あまりに複雑な状況での課税は現実的ではないと指摘した。
星野主税局長は「ドルをユーロに変えても同様に所得が発生するならば適当」と現状の仕組みの妥当性を説明する一方、土地の収容などでは課税を繰り延べる制度が存在することから「課税の繰り延べを認めるならば政策的配慮が必要だ」と話した。
星野主税局長は仮想通貨同士の交換を頻繁に行っていくと所得の補足が難しいことは認め、「取引実態を把握して必要な検討を考えていきたい」と述べた。
一連の議論を見た麻生太郎財務相は「ブロックチェーンは育て得る大きな技術になり、将来の日本にとって可能性があるもので中国のように締めるつもりはない」と指摘、「申告分離課税の方が把握しやすいのは確かだ」と話した。
仮想通貨同士の交換については、現実的な問題から課税を繰り延べる制度の議論が盛り上がりそうだ。