自衛隊のイラク日報、ほのぼの日記のまとめ 「おアホ・ドラゴン危機一髪」など笑いの要素

【自衛隊のマスコットキャラ「タクマくんとユウちゃん」】

自衛隊のイラク日報、「ほのぼの日記」のまとめ 「おアホ・ドラゴン危機一髪」など笑いの要素で交換日記化

防衛省は4月16日、2004年から2006年にイラクに派遣した陸上自衛隊部隊の日報を公表した。

これまで防衛省が「存在しない」と主張してきた日報が明るみになった。

大手メディアが「戦闘」の部分に着目して報道する一方、自衛隊員のほのぼのとした生活も判明。

海外の軍人とは日本文化の話題で花が咲き時にはヌンチャクを披露、外国人からは「おアホ」と謎の言葉も誕生する。

自衛隊のイラク日報の中で「自衛隊文学」とも言える緩やかな文体で綴られた「日誌=交換日記」での日常風景の一部をまとめた。

現場によって「バスラ日誌」や「バグダット日誌」とあるのは日誌、海外の軍隊の表記は「海外軍」でほぼ統一した。

目次

感情こもった日誌が充実
日本の文化を再発見
ドラゴン危機一髪、サンタも
伝説の20060303「おアホ」
名文のリンク
日常

自衛隊日報、次第に感情のこもった「日誌」が充実 「再度 ドン!×2」

自衛隊のイラク日報は基本的には復興活動支援の当日の内容、人員配置の状況、現地の分析など真面目なものだ。

日報では自衛隊がどのように現地の住宅や養護施設、インフラなどの補修工事に尽力してきたかがわかる。

イラク復興支援群の日報では2004年〜2005年中頃までは冷静な分析が続く一方、2005年9月ごろより「日誌」という堅苦しくない体裁の記載が目立ち出す。

自衛隊の日報の日付ごとにその日常を探る(年月の数字に該当の日報のリンク有り)。

2005年9月26日
他国の部隊のペーパーレス化が自衛隊より進んでいると分析。

「自衛隊が克服すべき課題は言語ではなくネットワーク社会の本質を理解し、適応しなければならないと感じるきょうこの頃」と書いた。




2005年10月29日
自衛隊隊長と海外軍の中将とのほのぼのとしたやりとりを記載。

自衛隊隊長:ウチの部下がお世話になってます。
海外軍中将:こいつは空挺レンジャーだな? (ドンと拳で國井の胸を叩く)
自衛隊部下:イエス・サー!
海外軍中将:よく見かけるよ、頑張ってるな、オイ! (再び ドン!)
自衛隊部下:サンキュー・サー!
自衛隊隊長:私はいずれ帰国しますが、こいつらはあと1年ぐらいここに置いてもよいですか?
海外軍中将:いいじゃないか! (再度 ドン!×2)
自衛隊部下:ノー・サー

海外軍の司令官から空き缶を投げつけられたことに対しては「なんだそれだけかょ〜だけど思わずストライク!」と心の声も。

隊長の宿泊部屋が汚く、怒られた事については「防大空手部1年にタイムスリップしました」と震えた様子もあった。

外国人との対話で日本の文化を再発見 「ヒゲヅラのおっさん」に苦悶

2005年11月3日
他国の軍隊と挨拶の違いについての苦悩を明かす。

初めて接する挨拶の中ではウインクの対応に困っていると記載。

「きれいな金髪の女性がウインクしてくれれば嬉しいのだが、残念ながらウインクするのは額の面積が通常より広いオヤジか、ヒゲヅラのおっさんばかり」と苦悶する。

海外軍から「今日は文化の日でしょ、おめでとう」と祝福されると「文化の日って、何かしたっけ? としばし黙考」した。

2005年11月13日
海外軍の人々とのやり取りで日本人らしさも再発見。

いつもより早い時間(04時30分)に海外軍の司令部へいくと当直に「いつも(05時00分)より早いじゃないか」と指摘される。

早朝勤務は他国から「クレイジーと言われる」と明かし、同僚の不在時は代行まで行う日本人のスタイルは理解されないとぼやく。




2005年12月3日
アメリカ人には日本マニアも存在した。

武士のような絵を見てアメリカ人が「ムサシ! ムサシ!」と連呼してくる。

宮本武蔵かと思うと絵のタイトルは「the Book of Five Rings」。

なんとそのアメリカ人は「Five Rings」、つまり「五輪書」を愛読していたという。

これには自衛隊員も「アメリカ人恐るべし」と唸る。

ヌンチャクでドラゴン危機一髪、クリスマスにはサンタが登場

【2005年12月25日の日報より】

2005年12月20日
トルコではスキンヘッドが禁止されているが、イラクの現地では頭を刈り上げるチャンスにもなる。

日本人の自衛隊員を真似てトルコ人もスキンヘッドに。

スキンヘッドのルーマニア人と3人で写真を撮ったのは「笑える一枚になった」。

ただ、奥さんの反応を聞くと髪を伸ばしてから帰れと激怒されたそうで「どこの家族も似たようなものだ」と分析する。

キャンプ周辺の売店を歩くと海外軍人が「ヌンチャク」を渡してきてブルース・リーのまねを見せてくる。

「日本人だからできるだろう」という挑発にのって自衛隊員がヌンチャクを披露すると興味深げに見てくれた。

ただ、自衛隊員は調子にのって「振り回すのは誰でもできるが、元の姿勢に戻るのが大変なんだ」と講釈したのには後悔。

周りの軍人たちがヌンチャクで遊びだしたのを見て、イラク人の店員が何か言う前に自衛隊員は店を離れて「まさに(ドラゴン)危機一髪だった」と述懐する。




2005年12月25日
記念日では自衛隊員も「戦場のメリークリスマス!?」と驚愕した。

12月23日の作戦会議では報告が終了した後にいつもの「司令官コメント」が「サンタのコメント」に変わる。

12月24日の作戦会議では自衛隊員も「今日もきっと何かあるだろうと楽しみに参加」。

すると司令官が大真面目に「今日はサンタが訪問します」と告げてくる。

12月24日の夜は静かだったものの、12月25日はサンタが登場して賛美歌を歌い、飾り付けにケーキが並びノンアルコールのワインで明るい雰囲気に。

自衛隊員は現地の12歳の女の子からの感謝のクリスマスカードをもらって涙腺が緩むも「日本人の中年オヤジから返事が来たら嫌がるだろうか?」と笑いの要素を取り込むのは忘れない。

伝説の2006年3月3日の日誌 「おアホ」「いい加減にせ〜よ」

自衛隊のイラク日報の中でも秀逸だと話題になっているのが2006年3月3日の日誌だ。

ここは原文をそのまま紹介する。

2016年3月3日

「おアホ」

(・・・・・・・・・朝からひどいことを言うなあ。)

「おアホ」

(・・・・・・・・・いい加減にせ〜よ)

「おアホ」

(なめてんのか・・・・・・・・・)

「おアホ」

(???????・・・・・・・・・ああ「おはよう」か?)

9カ国後を駆使して、みなさんに挨拶している効果がようやく現れてきたのか、逆に日本語で挨拶してくれる人が増えてきた。

それはいいことだが、かなり危ない日本語を使う人がいるので、じ後矯正指導に努めたいと思う。




その他、ツイッターで話題の日報リンク

ツイッターで話題の日報のリンクをまとめ、タイトルにリンクを貼った。

【2005年10月23日】
イタリア人帰国者の送別会
過去の同盟ネタでイタリア人から今度も一緒にやろうと誘われるが「笑いながら心の中でNo」とディスる。

【2005年11月4日】
日本はどうする? 言い訳は
他国がイラクから撤収するなか、自衛隊員が現場を離れない言い訳を必死に考えている。

【2006年2月5日】
鬼瓦少佐考
いかつい海外軍人を「鬼瓦(ONIGAWARA)」と呼び、意味を問われて「勇気」と答える。

【2006年2月11日】
コーヒーと紅茶の話
イギリス人の紅茶のこだわりに関心する。

【2006年2月23日(日報は2月25日)】
五寸釘正拳打ち込み
五寸釘を正拳で打ち込めるという自慢。

【2006年3月14日】
ハードターゲットとハードタッチ
米軍は直ぐに反撃動作のハードタッチ、日本軍はSU方式(スーパー・ウグイス嬢)のソフトタッチと表現。

【2006年4月5日】
イラクのトンボはでかい、からの爆発音
イラクのトンボはなぜでかい、など考えていた時に爆発音があり警報が鳴る。

【2006年5月3日】
班長の食中毒
収納上手な女房役を目指す自衛隊員が胃腸の弱い班長に対して1年以上、賞味期限の切れたそばを振る舞う。

【2006年5月9日】
本日快晴(クリケットの紹介)
日報としては本日快晴との一文だけで、英国などで人気のスポーツ「クリケット」を図も使って詳しく紹介。

【2006年5月27日】
未確認生物の存在 パート2
湖での大きな入水音は「伝説の生物、ロッシーではないか」と言って仲間を励ます。

【2006年6月2日】
暑気払いに冷や素麺
5人で24人前の素麺を一気に平らげる豪の者たち。

【2006年6月19日】
コインを眺めながら
お世話になった人にコインを渡す風習を紹介する感動話。

【2006年7月18日】
平和の尊さ
イラク復興支援群としては最後の日報で仲間たちに感謝し、平和の尊さを訴える。




イラク日報で現地の日常生活が判明

このように自衛隊のイラク日報では現地の日常生活が伺える。

命のかかる厳しい勤務体制の中で日報は自衛隊員たちにとってはSNSのような交流の場、交換日記になっていたのではないだろうか。

ほのぼのとした日記が可能だったのは自衛隊が比較的に安全な場所に配置されていたことの証明にもなりそうだ。

もちろん防衛省が「存在しない」と言い張っていた書類が後になって発見されたことの問題はまた、別になる。

現地で奮闘された自衛隊員の方々たちは当然に、防衛省が発表した一連の書類をPDF化してインターネットにアップした朝日新聞の努力にも敬意を表したい。

・この記事の関連リンク

朝日新聞:陸自イラク「日報」 防衛省が公表した全文書






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