株のIPO、45万円が490万円に大化け 新規上場HEROZの「超限定戦略」
株のIPO、45万円が490万円に大化け 新規上場HEROZの「超限定戦略」
株式市場の新規上場(IPO)で歴史的な大化け銘柄が誕生した。
4月20日にマザーズ市場に上場した人工知能(AI)や将棋アプリ開発の「HEROZ(ヒーローズ、証券コード4382)」の株価は4万9000円で寄り付いた。
公開価格の4500円からは10.88倍で時価総額は一時1600億円まで上昇。
ロイターによると公開価格から初値の上昇率は過去最高(2位は1999年のエムティーアイで9.09倍)だ。
一般で申し込む1単元は100株単位のため、IPOに応募した人は45万円が一気に490万円になった計算になる。
HEROZは「AI開発」や「将棋」といったワードで将来への期待を集めた。
ただ、HEROZの株価が上場すぐに歴史的な急騰を見せた背景には、上場時の株の放出を絞る「超限定戦略」もある。
買いたい人にも手に入らない希少性 HEROZの上場時の株式流動性は6%
【HEROZは上場する際にほとんどの株式を市場に放出せず既存の株主が持ったままにした】
注:上場時の流動性は「公募+売り出し」÷「上場済発行済株式総数」で算出
「4月20日に上場したHEROZは3日目になって価格がつきましたね。公開価格から初値の上昇率は過去最高の約11倍じゃないですか」
「事前に人気の高い銘柄ではあったけれど、過去最高になるとは驚きだ。IPOの抽選に当たった人は400万円もの儲けを手にしたね」
「なんで上場時にこんな高い値段がついたんですか? やっぱりAI開発とか将棋アプリとかが面白そうだったのかしら」
「最近はAI開発の銘柄がブームなのは確かだ。ただ、HEROZの主力はあくまで将棋のスマホアプリ『将棋ウォーズ』だよ」
「今から将棋アプリがガンホーのパズドラからミクシィのモンストみたいに大化けしそうにはないですもんねえ。じゃあ、どうしてHEROZはこんなに人気になったんですか」
「上場する時に株式を市場にほとんど出さなかった『超限定戦略』が功を奏したのだろう。HEROZは上場時の発行済株式総数に対して売り出した株はその6%にすぎない。市場に出ているHEROZ株が少なすぎるため、買いたい人たちが多くなった。林隆弘CEOと高橋知裕COOの二人で合計70%の株を保有したままだ」
「林CEOと高橋COOは上場で500億円の資産を持つ大金持ちになりましたね。ところで最近のIPOを見ると、上場時の流動性が低いほど人気が高く見えます」
「IPO銘柄というのは上場した直後には売買が集中する。このタイミングで市場に出回る株が少なければ価格も上昇しやすいのは確かだ」
「HEROZは固定株主が多いから、今後も人気か続いていくのかしら」
「これからのHROZの株価は相当、注意したほうが良い。上場時の流動性が低いということは、裏を返せば今後は株を売りたい人がたくさん残っているということだ」
「実際にHEROZ株は初値がついた後にストップ安まで下がりましたもんね。今のHEROZ株に手を出すのは仮想通貨の草コインに投資するより読めませんね」
「大株主にロックアップ(売却制限)があるっつーても、売出価格の1.5倍以上で幹事会社を通せば売れるルールもあるしな。大株主のレオスの藤野さんや五月さん、従業員は満面の笑みでゴールデンウイークに突入やなぁ」
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