GACKTコインの内容が判明、参加者は一部に限定 仮想通貨スピンドル
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GACKTコインの内容が判明、参加者は一部に限定
歌手で俳優のGACKT(ガクト)氏が参加している新しい暗号通貨「SPINDLE(スピンドル)」、いわゆるGACKTコインの参加者は一部に限定されるようだ。
スピンドル(SPINDLE=SPD)を使った投資・運用プラットフォームSPINDLEプロジェクトは12月28日、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)のホワイトペーパー(報告書、公開文書)の一部を公開した(リンク)。
スピンドルプロジェクトは参加者が仮想通貨ヘッジファンドに投資、その運用成果が投資家に返ってくるシステム。
ホワイトペーパー発表後、仮想通貨への投資や投機が広く普及している現在ではヘッジファンドを介さずに直接に仮想通貨に投資すれば良いではないかとの批判が集まっている。
ICO参加者は米国や中国がのぞかれ、日本では金融資産1100万以上かつ投資経験1年以上と限定した。
日本での出資法や有価証券取引法に抵触するのではないかとの声も上がっている。
スピンドルプロジェクトの参加には相応のリスクが求められているようだ。
目次
・概要
・参加できない者
・既存の金融関係者は奴隷
・批判
・規制
・リスク
ガクトコイン、プロジェクトの概要
【スピンドルのホワイトペーパーより】
スピンドルのICOに参加した投資家はその後、取得した仮想通貨SPDを使って仮想通貨ヘッジファンドなどに投資する。
仮想通貨ヘッジファンドは世界の仮想通貨市場に投資、その運用の成果が投資家に返ってくる。
SPDの予定トークン総発行総量は100億SPDで、プロジェクトがICO後に3年間で目指す経済規模は年229億5800万USD(約2兆6000億円)、直近3ヵ年の最低経済数値目標は2億2958万USD(約260億円)。
2017年10月から2008年1月にプライベートプレセールを実行、2018年4月に全世界向けセールを開始、2018年5月よりトークンを発行しICO(仮想通貨取引所上場)を目指す。
スピンドルプロジェクトは通貨保有者からはコストを徴収せず、仮想通貨ヘッジファンドに運用資産の年1%の手数料を徴収する。
スピンドルのICO、参加できない者は多い
スピンドルのICOは参加できる人、できない人の区切りに特徴がある。
まず、米国と中国の居住者はICOに参加できない。
仮想通貨を保有したことがない人や仮想通貨に知見のない人、75歳以上や18歳以下も対象外だ。
さらには株式など有価証券、デリバティブへの投資経験が1年未満でも参加できない。
保有資産にも制限があり、日本など先進国の居住者で金融資産が10万USD(約1100万円)持っている必要がある。
また、保有する金融資産のうち50%以上をスピンドルのICOに投じることも禁止されている。
スピンドル、既存の金融関係者を「奴隷」と表現
【スピンドルのホワイトペーパーより】
スピンドルのICOでは既存の金融関係者を「奴隷(Slave)」と表現している。
世界の金融関係者(ヘッジファンド)のパフォーマンスが米国株式市場の主要指数のS&P500種株価指数と大差ないか下回っているという。
その理由としてヘッジファンドの運用者が投資家保護や厳しい規制でリターンを創出するのが難しいと説明する。
批判集中、スピンドルプロジェクト
スピンドルプロジェクトが12月28日にホワイトペーパーを公開後、ネット上では批判が集中している。
まず、仮想通貨SPDの使い道だ。
SPDを手にした投資家は仮想通貨ヘッジファンドに投資、そのヘッジファンドの運用が成功した場合に投資家は利益を獲得できる作りになっている。
ただ、既に投資家は世界各地の仮想通貨に投資、投機が可能だ。
また、スピンドルプロジェクトは現在の暗号通貨時価総額の平均年成長率は340%で、5年後には低く見積もって日本円で400兆円になると推測している。
実際には、仮想通貨の市場は2016年末の約2兆円から2017年末の約66兆とこの1年間だけで22倍(2300%)になっている(コインマーケットキャップより)。
平均的に見て今後も仮想通貨市場が成長を続けるかどうかは誰もわからない上に、仮想通貨市場が安定的に成長するならば直接に投資した方がリターンは高そうだ。
スピンドルプロジェクトは3年間で目指す経済規模が年間で約2兆6000億円、最低で約260億円規模としており、巨額の資金が集まらなかった場合は計画が頓挫してしまうことになる。
スピンドルプロジェクトに参加する仮想通貨ヘッジファンドは独自で資金を運用するよりコストを払う。
そのため、スピンドルプロジェクト自身が表現している「奴隷」的な仮想通貨ヘッジファンドがプロジェクト内に存在する可能性を内包してしまっているように見える。
規制、出資法違反や有価証券に該当しないか
個人投資家の山本一郎氏は12月30日、スピンドルプロジェクトについて「少なくとも現行法上は完全な違法業者になっています(出資法違反)」と指摘した。
(記事:タレント「GACKT」が仮想通貨ICO参入も問題続発、フィンテックバブルはどうなるのか)
スピンドルはホワイトペーパーにおいて、同プロジェクトは「いずれの法域においても有価証券の性質を有するものではありません」と説明している。
ただ、金融商品取引法には「集団投資スキーム持分」という概念があり、トークンエコノミーなどICOは個別に有価証券に該当しないかの判断がなされる。
集団投資スキーム持分では、金銭の出資があり、その出資の事業が生み出す収益の配当や財産の分配があった場合を有価証券とみなす。
プロジェクトの詳細によってはスピンドルプロジェクトが日本では有価証券と見なされて金融商品取引法の対象となる可能性はある。
リスク、ホワイトペーパーより
スピンドルプロジェクトではICOに参加する投資家にホワイトペーパーでリスクを表明している。
価格変動は当然のこと、初期段階での資金調達のためプロジェクトが失敗した場合は参加者はすべての資金を失う。
市場参加者が少なければ取引を行う流動性に欠けて、取引が不可能な場合もありうる。
世界各国でICOやトークンに関する法令・税制は流動的なため、法律の変更によっては投資家が不利を被る可能性がある。
現実に、中国や韓国は2017年9月にICOを禁止した。