ビットフライヤー、現物とFXの乖離率を狙った売買 9%買いの10%売りでSFDボーナス
ビットフライヤー、現物とFXの乖離率を狙った売買 9%買いの10%売りでSFDボーナス
仮想通貨取引所ビットフライヤーでルールの裏をついた売買が話題だ。
ビットフライヤーで証拠金・信用取引(FX)のできる「bitFlyer Lightning(ビットフライヤーライトニング)」では2月18日の8時30分ごろ、ビットコインFXの価格が137万円まで上昇した。
同時点のビットコインの現物価格は119万円前後で、現物とFXの価格の乖離は15%にもなる。
ビットフライヤーは現物とFXの価格の乖離を埋める新ルール「SFD」を2月8日の午前4時に導入していた。
SFDルールでは本来、現物とFXの価格を大きく乖離させる取引には罰金を課して、乖離を縮小させる取引にはボーナスを与えるシステムだ。
ただ、ビットフライヤーFXでは「新規の取引」と「決済の取引」の両方でSFDが徴収されると判明。
現物とFXの乖離差が「9%」と「14%」、「19%」の時点で「買い」から入ればボーナスがもらえる美味しい取引との見方が広がっている。
ビットフライヤーFX、価格の乖離率が9%、14%、19%の時は「買い」が有利に
ビットフライヤーでは現物とFXの価格の乖離率が10%以上(15%未満まで)に達すると初めて約定金額の0.5%のSFDが発生する。
ビットフライヤーFXで現物(100万円)とFX(109万円)の価格の乖離率が9%の時を考えてみる。
・取引A
買いから入る投資家は価格が110万円に上昇すれば値上がり益1万円が手に入る。
それと同時に、乖離率が10%の時に「売り」というSFDを貰える取引にもなるため通常の取引の他にSFD分の5500円が貰える。
・取引B
一方、同時点で売りから入った投資家は価格が110万円に上昇すれば値上がり損1万円を失う。
それと同時に、乖離率が10%の時に「買い」というSFDを支払う取引にもなるため通常の取引の他にSFD分の5450円を支払わなくてはいけない。
・乖離率9%の時の投資家心理
上記の事情があるため、現物とFXの価格の乖離率が9%の時は市場全体で乖離率を10%にしようとする誘惑が働く。
買いから入る投資家にはSFDを貰えるチャンスが広がる。
一方で、売りから入る投資家はその後に価格が下落してもSFDを貰えるわけではない(現物との価格の乖離がマイナス10%まで広がらなければならない)。
乖離率が9%の時は「売り」から入る投資家より「買い」から入る投資家の方が多いのではないかとの見方が広がれば、結果的に価格の乖離率は10%に向けて動くだろう。
・取引C
現物とFXの価格の乖離率が10%に広がると話は逆転する。
売りから入った投資家は新規の取引時点でSFDを貰えた上、その後に価格が下落すれば値下がり益が手に入る。
同時点で買いから入った投資家はSFDを支払う上に、その後に価格が下落すれば値下がり損を被る。
つまり、価格の乖離率が10%の時点では「買い」よりも「売り」が有利な状況に見える。
ビットフライヤーFX、乖離率10%で綱引きに
・参考:ビットフライヤーのSFDに関するリリースより
現状のビットフライヤーのシステムでは、現物とFXの価格の乖離率が9%になると10%に向けての動きが強まり、実際に10%に到達すると9%に向けて動く綱引きになりやすい。
もっとも、価格の乖離率が14%になると、今度はSFD比率が1.0%に上昇する「15%以上20%未満」の枠に到達する。
すると今後はFXの価格を現物との乖離率が15%に上昇させようという買いの動きが強まりそうだ。
ビットフライヤーの現在のSFDルールでは、現物とFXの価格の乖離を広げる誘引が問題ではないかとの批判が広がっている。
これらの動きを見越して大口の投資家が現物とFXで小口投資家のロスカットを狙う動きも考えられるため、ビットフライヤーFXの取引で注意する点は多い。