議員が文書で質問→内閣は閣議決定しての回答義務 「セクハラ罪は存在しない」
【野党議員の文書での質問に対して、内閣は閣議決定して回答する義務を負う】
「セクハラ罪は存在しない」の閣議決定 議員が文書で質問→内閣は閣議決定しての回答義務
政府が「セクハラ罪」は存在しないとした閣議決定が話題だ。
政府は5月18日、「セクシュアルハラスメントとして処罰する旨を規定した刑罰法令は存在しない」との答弁書を閣議決定した。
財務省の福田淳一前事務次官のセクハラ問題を巡り、麻生太郎副総理兼財務相が「セクハラ罪という罪はない」と繰り返し発言したことに対しての対応だ。
これを受けて世論では「セクハラ罪はない、という閣議決定はおかしい」などとの疑問が噴出。
ついには立憲民主党の公式ツイッターアカウントが「閣議決定をする事なのでしょうか…。」とつぶやいた(数時間後に削除)。
ただ、今回の政府の閣議決定の原因は、立憲民主党の逢坂誠二氏の質問主意書だ。
政府が自ら何かを主張しようとしたわけではない。
なお、「セクハラ罪はない」というのは現状の法律について述べているのであり、セクハラを重視・軽視するのとは別問題になる。
質問主意書とは 少数派の野党議員にとっての武器 過去にはUFOの対応も質問に
国会では所属会派の議員数によって質疑時間が決まるため、無所属や少数会派所属の議員は十分な質疑時間を確保できない。
そんな少数派の議員にとって、政府に対しての武器となるのが質問主意書だ。
議員は国会法第74条の規定に基づき内閣に対して文書で質問(質問主意書)できる。
議長又は議院の承認した質問主意書について内閣は七日以内に答弁をしなければならない。
そのため、主に野党議員の質問に対して内閣は閣議決定した上で答弁を決定する。
2018年2月27日には上述の質問をしたのと同じ立憲民主党の逢坂誠二氏が未確認飛行物体(UFO)に対しての対応を質問主意書で提出。
内閣は閣議でUFOについて「地球外から我が国に飛来した場合の対応について特段の検討を行っていない」とする答弁書を決定した。
国会法74条と75条 第八章 質問
第七十四条 各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
2 質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならない。
3 議長の承認しなかつた質問について、その議員から異議を申し立てたときは、議長は、討論を用いないで、議院に諮らなければならない。
4 議長又は議院の承認しなかつた質問について、その議員から要求があつたときは、議長は、その主意書を会議録に掲載する。
第七十五条 議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に転送する。
2 内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない。その期間内に答弁をすることができないときは、その理由及び答弁をすることができる期限を明示することを要する。
・この記事の関連リンク
衆議院:国会法
衆議院:第196回国会 質問の一覧
なるほど、野党はこうやって邪魔をするのか。