家計簿アプリのマネーフォワードが上場、設立から5期連続の赤字

家計簿アプリのマネーフォワードが上場

個人向けの家計簿アプリを手がける「マネーフォワード」は8月25日、東京証券取引所より新規上場(IPO)の承認を受けた。

東証マザーズ市場に9月29日に上場する。

マネーフォワードの家計簿アプリは金融機関と連携しており、手間が少なく家計簿を作れると評判だ。

2012年5月に設立したマネーフォワードのアプリは利用者が500万人を突破して家計簿アプリのシェアがナンバーワン。

成長著しい会社だが、設立から上場にいたるまで5期連続赤字という珍しいIPOでもある。

目次

業績
赤字上場
上場のタイミング

業績、設立から最終損益は全て赤字

業績の表(単位:千円)

業績のグラフ

マネーフォワードは2012年5月に設立、同年12月に自動家計簿・資産管理サービスの「マネーフォワード」をリリースした。

売り上げを見ると設立1年目はゼロ、2年目は355万円、3年目は7613万円、4年目は4億4170万円、5年目は15億円と順調に伸びている。

最終損益は一度も黒字化したことはなく、常に外部から資金を受け入れて債務超過を逃れてきた。


「上場の噂があった家計簿アプリのマネーフォワードがついにきましたね。事業内容がわかりやすいから人気は出るのかしら」


「売上高を見れば設立から5年で急成長、2017年11月期は第2四半期までだが伸びは続いている」


「でも設立からずっと赤字なんですね」


「利益の確保よりまずはシェア拡大を優先してきたのだろう。ベンチャー企業にとってある程度の規模まで売り上げを伸ばしてから広告や課金などを充実させる手法は珍しくない」


「じゃあ設立から赤字だけの会社でも売り上げが伸びていれば大丈夫なんですね」


「そうとも言えない。製薬会社やゲーム会社は一つの商品が当たれば売り上げが10倍や100倍にだってなる」
「マネーフォワードの家計簿アプリの利用者数は500万人で既に市場のシェアナンバーワンだ。これまでのペースで売り上げが伸びていくかは何とも言えないね」


「これからは利益確保のためにどんな施策を打つかに注目すればいいんですね」




赤字上場、マザーズは可能


「赤字会社でも上場って出来るんですね」


「赤字でも上場できる。東証の審査基準では東証2部では最近2年間の利益の額の総額が5億円以上か時価総額が500億円以上あれば良い」
「ジャスダック市場では最近1年間の利益の額が1億円以上か時価総額が50億円以上、マザーズにいたっては利益の額や時価総額に特に要件はない」


「ゆーて、今期だって赤字のペースやないか。上場してからも赤字を計上して債務超過を逃れるために増資を繰り返すんやないか?」


「ここからの利益確保に自身があるのかもしれない。会社はどんな採算改善案を持っているのかを投資家にアピールする必要はあるね」




なぜこのタイミングで上場したのか


「黒字化を達成してから上場すれば投資家だって気軽に株を買えたと思うんですけど」


「上場のタイミングが早いという声は多いね。辻庸介社長は投資家に何度でも丁寧に説明する必要はあるだろう」


「金を出してきたベンチャーキャピタルがイグジットしたくてせっつかれて上場したんやないかって言われとるで」


「もちろん、ベンチャーキャピタルが限界を感じて上場を急がせた可能性はある。ただ、そのあたりが事実だとしても公に情報は出てこないね」


「設立から赤字続きだどPERとかPBRとか投資指標は使いにくいですね」


「直近では営業活動に関するキャッシュフローも大幅なマイナスが続いている。成長性を武器にしていくしかない」


「有価証券届出書にこのタイミングで上場する理由、ってのを中身をちゃんと書くように義務付けて欲しいやで」




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