日大アメフト部問題、法の焦点は「ルールを遵守」「被害者の同意」 関西学院大の選手は被害届を提出
日大アメフト部問題、関西学院大の選手が被害届を提出 会見では「家族はもの凄く憤っている」
日本大学のアメリカンフットボール部の悪質なプレーの問題が「事件」になる。
複数メディアが5月21日13時ごろ、怪我をした関西学院大学の選手が「大阪府警に被害届を出したことが捜査関係者への取材でわかった」と報じた。
今後は試合が行われた東京を管轄する警視庁が捜査を進めるという。
関西学院大学側は5月17日に開いた会見で「刑事告訴するかどうかは本人、ご家族が決めること」と説明。
被害者の家族の様子について「非常に憤っている。最も抑制的な表現で憤り。正直なところ、収まっていくという感じではない」と話していた。
日大アメフト部の危険な行動はスポーツ内の「プレー」ではなく、「暴行罪・傷害罪」として犯罪かどうかが問われていく。
スポーツと刑事責任 競技のルールを遵守・被害者の同意
一般的に、スポーツではルール内での行為は犯罪(違法行為)とはならない。
アメフトやサッカー、格闘技など肉体的に激しいスポーツではルール内の行為でも刑法204条の「人の身体を傷害した者」など犯罪構成要件に該当してしまう。
ただ、スポーツにおいては個別の事情を勘案して違法性のない正当行為だと見なされる。
スポーツ法政策研究会の高松政裕弁護士はスポーツ医学専門誌「Sportsmedicine」で「競技のルールを遵守して行われたものか、また、被害者に同意があるか、という2つの要素から、社会的に相当な行為であると判断されるようであれば、正当行為に該当すると判断される」と説明する。
裁判例でもスポーツ行為の正当化の条件として以下の3つをあげている。
1、スポーツを行う目的で
2、ルールを守って行われ
3、相手方の同意の範囲内で行われる
逆に言えばスポーツの試合や練習において競技のルールを逸脱、被害者の同意のない行為は「暴行罪・傷害罪」として犯罪になる可能性がある。
刑法35条(正当行為)
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
・この記事の関連リンク
NHK:関西学院大の選手 警察に被害届
スポーツ法政策研究会:スポーツ事故と刑事責任