仮想通貨、証拠金倍率2倍に縮小の議論 デリバティブ取引で従来の4倍は「投機を助長」
仮想通貨、証拠金倍率2倍に縮小の議論 デリバティブ取引で従来の4倍は「投機を助長」
仮想通貨(暗号通貨)での投機的な取引を抑える議論が進んでいる。
金融庁は10月19日、第7回となる「仮想通貨交換業等に関する研究会」を開催した。
今回の論点は「仮想通貨を原資産とするデリバティブ取引等について」。
現状の仮想通貨のデリバティブ取引の証拠金倍率の上限4倍(最大25倍)について、複数の研究会メンバーが「投機を助長している」と指摘。
欧米での証拠金倍率の上限2倍を目安にすべきとの声もあがった。
学生にはデリバティブ取引を認めないなど新たな規制が加わる可能性も浮上した。
日本の現状の証拠金倍率は4倍を設定、EUやCBOE・CMEは2倍
現状、自主規制団体の日本仮想通貨交換業協会は仮想通貨のデリバティブ取引の証拠金倍率を4倍に設定している。
国内では仮想通貨のデリバティブ取引の証拠金倍率を外国為替証拠金取引(FX取引)と同じ最大25倍に設定している業者もある。
一方、EUの規制では証拠金倍率の上限は2倍、ビットコインの先物市場を開設した米シカゴ・オプション取引所(CBOE)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でも2倍となっている。
研究会メンバーの中島真志麗澤大学教授は「CMEやCBOEと比較して4倍では甘すぎるのではないか」と指摘。
複数の研究会メンバーが現状の証拠金倍率4倍は高いとの見方を示した。
一方、オブザーバーとして参加した奥山泰全日本仮想通貨交換業協会会長は「私見では現在の4倍で良いとは思っていない」と言明。
「FXのように一律何倍が適切と思っていない。テザーのようなドルペッグ、ある程度安定しているビットコインなどボラに応じた倍率設定の検討が必要ではないか」と述べた。
安定した収入のない大学生などにはデリバティブ取引を認めないべきとの意見も出た。
主な意見、第7回「仮想通貨交換業等に関する研究会」
・株や債券には経済的意義があるためデリバティブ取引の価値が認められるが、仮想通貨の評価は定まっていない
・FXと仮想通貨は同水準の規制で十分か、仮想通貨はより厳格な規制が必要ではないか
・取引規模の小さな仮想通貨は相場操縦の可能性もあり、デリバティブ取引ができる仮想通貨は限定すべき
・技術の進歩が早く国際的な取引も多いため、包括的な概念の規制を設定するべき
・仮想通貨が今後は一定の意義を持つ可能性もあり、適正な規制を前向きに捉えていくべき
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金融庁:仮想通貨交換業等に関する研究会