エイベックス松浦社長、労基署の是正勧告に反論で炎上か
エイベックス松浦社長、エンタメ業界の労働問題で議論
エイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長の労働に対する考え方が議論を呼んでいる。
松浦社長はエイベックスが受けた労働基準監督署から是正勧告についてブログで意見を発信した。
雇用契約とは、エンタメ業界の働き方とはどうあるべきか。
エイベックス松浦社長の労働問題への提起、目次
・エイベックス松浦社長、労基署の是正勧告に反論で炎上か
・エイベックスが労基署から是正勧告を受ける
・エイベックス松浦社長、ブログで「生き様」を発信
・wiki的なことば解説、労働基準法とは
エイベックス松浦社長、労基署の是正勧告に反論で炎上か
【ニュース】
エイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長の労働に対する考え方が議論を呼んでいる。
松浦社長は12月22日、自身のブログで「労働基準法 是正勧告とは」との記事を掲載した。
エイベックス社が労働基準監督署から是正勧告を受けたことは「真摯に受け止め対応はしている」と前置きした上で、「労働基準監督署は昔の法律のまま、今の働き方を無視する様な取り締まりを行っている」と指摘した。
松浦社長の発言に対してネット上では労働者の視点からの声が噴出している。
望まない長時間労働を抑制する事はもちろん大事だ。
ただ、好きで仕事をやっている人に対しての労働時間だけの抑制は絶対に望まない。
好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない。
僕らの業界はそういう人の「夢中」から世の中を感動させるものが生まれる。
それを否定して欲しくない。
だから時代に合わない労基法なんて早く改正してほしいし、そもそも今のキャンペーンは労基法の是正が遅れているにも関わらず、とりあえず場当たり的にやっつけちまえ的な不公平な是正勧告に見えてならない。
(2016年12月22日、松浦勝人社長のブログより)
「松浦社長の言い分はわかりますけど、経営者と労働者では立場が違いますよね」
「労働者は雇用主と労働契約を結んでいる。この労働契約には労働基準法が適用され、いわゆるサービス残業は違法の扱いだ。経営者が仕事を好きで、夢中で働く分には問題ないが」
「そもそも、エイベックス社は残業代を適正に払っていないことで、労基署から指導を受けていますもんね」
エイベックス、労基署から是正勧告を受ける
【ニュース2】
エイベックス・グループ・ホールディングス(7860)が社員に違法な長時間労働をさせていたとして三田労働基準監督署から労働基準法に基づく是正勧告を受けていたことが13日までに分かった。
残業代を適正に払っていない、実労働時間を管理していないなどの指摘を9日に受けた。
エイベックスは是正勧告を受けたことを認めており「真摯に受け止め、社内調査を含め是正に着手している」と説明している。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
(2016年12月13日、日経新聞より)
「残業代を適正に払っていないのであれば、それは違法だね。エンタメ業界であろうと労働契約については労働基準法を守らなくてはいけない」
「あれ?でもエイベックスで仕事をしているような芸能人ってどうなるんですか?バラエティー番組の撮影なんか、仕事と遊びの境目があいまいな気がすんですけど」
「一般的に、芸能人は企業と労働契約ではなく請負契約を結んでいる。請負契約では企業は芸能人に対して働いた時間ではなく、ある仕事の結果に対して報酬を支払うんだ。この場合、企業と芸能人の間で使用従属関係はなく、労働基準法の対象外となる」
「フリーのアナウンサー、アイドルなどはテレビ局や芸能事務所などと請負契約を結んでいるケースが多い。若いアイドルがツイッターで『確定申告をしてきた』などと報告するのは、労働者ではなく個人事業主としてお金を稼いでいる一例だね」
「じゃあ、会社と働く人が雇用契約ではなく請負契約を結べば、仕事と遊びの境目のない働き方ができるんですね」
「それも一つの手段だ。実際に、高給で知られる企業などで会社と働く人が雇用契約ではなく請負契約を結んでいる場合はある」
「また、雇用契約の中でも裁量労働制が認められている業種の場合は、実際の労働時間ではなく、労使であらかじめ定めた時間を働いたものとみなされるね」
「ゆーて、サービス残業が横行している会社なんて日本にたくさんあるんじゃないやろか」
「その可能性は高いね。国際労働機関(ILO)には189の条約と204の勧告があるが、日本が批准している条約は49に過ぎず、先進国の中でもかなり低い部類だ」
「日本が批准していないILO第1号条約(8時間労働制)は雇用者が労働者に対して原則8時間以上働かせることができないという意味だ。欧州での残業はせいぜい1〜2時間程度といわれる。日本では批准したくでもできないのが現状だろう」
「日本の常識は世界の非常識ってところかしら」
「日本は『やりがい搾取』だらけなんやろか?ガッキーのドラマで人の善意につけ込んで労働力をただで使おうとするのをやりがい搾取って言ってたで」
「残念ながら日本では『やりがい搾取』が多いかもしれないね」
エイベックス松浦社長、ブログで「生き様」を発信
【ニュース3】
エイベックスの松浦勝人社長は2016年12月28日、自らの「生き様」をブログで発信した。
会社の従業員の音楽に対する姿勢や会社の方向性について「コアとポップの両方を理解している人間が社内にまったくと言っていいぐらいいない」と指摘、振り幅の大きい人材を重要視する姿勢を明らかにした。
「日本では労働基準法に守られていて、簡単に解雇することはできないけど、海外の企業だったらとっくにクビになってもおかしくない人が紛れこんでいる。だから、給与体系を大きく変えようと思っている」
「今、言われている残業代だってみなしをやめ正確に法律の範囲内で最大限支払うつもりだ。在宅勤務も導入する」
(2016年12月28日、松浦勝人社長のブログより)
「エイベックスは徹底的な成果主義を目指していくのかしら」
「法律の範囲内で労働条件を定めるのは自由だ。エイベックスは会社の商品であるアーティストたちが個人事業主だけに、それと一緒に働くエイベックスの人間も個人事業主になった方が法律的には良いかもしれないね」
「芸能界の世界で9〜17時の働き方ってはのは合わないのかしら。芸能界がブラック業界になってしまう気もするんですけど」
「ビートたけしや明石家さんま、タモリなど超スーパースターは会社の下で働く従業員とは世界が違う。ミュージシャンと一緒に働く人にしても、アルバイトや正社員、個人事業主など業態に合った契約をエイベックスは結ぶべきだろう」
「芸能界での若手は根性論とか強そうや。昭和時代の匂いがするで」
「エンタメ業界だから法を犯していいわけではない。松浦社長が考え出したように、現行法に合わせた雇用形態、契約を考えていくべきだろう」
本記事のwiki的なことば解説
・労働基準法とは
労働基準法とは労働条件に関する最低基準を定める法律だ。
国家公務員など一部を除き、日本国内の労働者に原則適用されて労働基準法に違反している契約は無効となる(第13条)。
労働基準監督署が労働基準法に違反している賃金不払残業(サービス残業)などを取り締まる。
労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めている。
厚生労働省は例外について以下のように説明している。
「商業、映画・演劇業(映画製作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業であって、常時使用する労働者が10人未満の事業場は、特例として週法定労働時間を44時間」と定められている。
例外として、労使協定が締結されている等の条件の下、一定期間内を平均した労働時間が法定労働時間を超えないように労働時間を定めることができる制度があります。
これを変形労働時間制といいます。
労働基準法では、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制を定めています。
(厚生労働省「労働基準法に関するQ&A」より)